マラソン グランド チャンピオンシップ(MGC)

MGCのレースを観た。男女ともに素晴らしいレースだった。前シーズンにMGC出場権を得た選手がオリンピック出場権を懸けての懸命に走っていた。

いきなり独走を始めてこのままトップでゴールするのかと思わせた設楽は最後は沈んでしまったが、あの勇気は讃えられて良い。最初に下りで、後半に上りがくるコースでペース配分を間違えたのだろうか。
また残り5キロあたりからの中村、服部、大迫のデッドヒートはまるで短距離を観ているようだった。個人的には大迫を応援していたが、最後までイニシアティブを取れなかったことが敗因だろう。恐らくベストの状態ではなかったのではないだろうか。にも関わらず、最後まで諦めない気力は、観ていて鳥肌がたった。一時はトップに立ちそうだったが、あそこまでが限界だったのかもしれない。
本番にコンディションをピークに持ってくることの難しさを痛感する。(そうではないかもしれなけど)

女子は、3位の小原が最後は2位の鈴木に4秒差まで迫ってゴールしたのは驚きだった。ベテランの福士加代子を応援していたが、やはり難しいのだろう。

大迫、小原の3位の二人は、これからの戦略が難しいだろう。誰かが設定タイムを超える走りをしてしまったら、その時点でオリンピックは消えてしまう。自身が設定タイムを超えるレースをするという選択もあるが、オリンピックまでに一度ピークを作ってしまうことになる。その場合、設定タイムを超えたとしても、オリンピックでもう一度ピークを作るのは相当難しいだろう。誰も設定タイムを超えられないと想定して調整するという選択も、他力本願でアスリートとしては望まない方向なのではないだろうか。

この選考システムを考えたのは瀬古さんを中心とした数名らしいが、良く考えられたシステムだと思う。誰が見ても文句のない公平な選考であり、選手から見てもMGC出場権の獲得のためにレース、そしてMGC、2位に入った選手は1年かけてオリンピックにピークを持っていける。MGCが今後続いていけば、おそらくマラソン日本の復活は遠くないだろう。