Bill Evansと村上龍

最近は音楽を聴くのは、ヘッドホンを通じてスマホからばかりだ。でも久しぶりにミニコンポで、少しボリューム大きめで聴いてみた。
Bill Evansの「Alone」。何故かは自分でも解らないが、Bill Evansではこのアルバムが一番のお気に入りだ。聴いていると気持ちが落ち着いて、安らかな心持ちになれる。
やはり音楽はヘッドホンで閉ざされた空間で聴くよりも、スピーカーから聴いた方が良いなと思う。今日、「Alone」をヘッドホンで聴いてもこんな落ち着いた気分は味わえなかっただろうと思う。

聴いていると、ふと併せて読書を、という気分になった。何を読もうかと考えたら、こんな時はやはり小説だろうと思った。歴史書でも経済書でも法律書でも科学書でもない、小説だ。どんな小説が良いだろう、と次に考える。サスペンスではない、推理小説でもない、恋愛小説でもない。あまり面白すぎてのめり込んでしまうようなものも違う。淡々と物語が進んで、大きなクライマックスがあるわけではない、感動に震えるようなものでもない、そんなのが良いな、と思っていたらふと浮かんだのが村上龍の「空港にて」という短編小説集だった。自分の中では数少ない何度も読み返している作品の一つである。希望をテーマとした作品だが、押し付けがましくなく、こんな日常にも希望があるんだ、それは人によって様々で、前を向いて生きるというのはこういうことじゃないか、と思わせてくれるお気に入りである。村上龍にしては珍しい作風だが、こういう作品も書けるというところが村上龍の凄いところだ。

そんな事を思いながら、Bill Evansを聴きながら村上龍を読んでいる。それとも村上龍を読みながらBill Evansを聴いているのだろうか。

今夜は少しばかりハッピーな気分だ。
Aloneの中では「Here's that rainy day」が好きです。ちなみに。

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